秋の野に 詩情ゆたかな風が 吹いてゆきます。
紅葉のハイシーズンを終えると、歩く人の姿もすっかり少なくなります。
そんな秋の野には、静かなメロディーを奏でるような風が 吹いてゆきます。
「胎範の碑」の近くには、まだ色付く前の楓のエリア。
日の名残りを惜しむように
もみじ葉が光を集めて
キラキラと歌います。
落葉の水面に映る影は
バーントシェンナの鏡。
嘉陽宮(かやのみや)邸 跡から
東の仙洞御所を臨みます。
そのむこうには大文字山。
さらにその山のあなたには。
紫宸殿の南には、ターネンバウムの樅の木と、秋には葉っぱを落とす桜の木があります。
風に吹かれては動く桜の葉っぱが、木の影を静かなダンスに誘っています。
影は誰を待って、踊るのでしょう。
一緒に遊んでくれる子供たちを待って、踊るのでしょう。
愛の言葉を語らう恋人たちを待って、歌うのでしょう。