京都ゆば長の国産大豆から作る湯葉

ゆば長のこころ

京都の清冽な地下水と、国産大豆だけを材料に
一枚、一枚 心をこめて作っております

御ゆば

「ゆば(湯葉)」は、大豆のたんぱく質に代表される天然栄養素がいっぱいの、優れた伝統食品。この大豆たんぱく質には、人が体を作る上で、食事を通して摂取しなければならない、必須アミノ酸が豊富に含まれています。(必須アミノ酸は、さまざまな食品からバランスよく摂ることが大切。)また、活性酸素の働きを抑制するイソフラボンも、大豆の胚の部分から多く抽出されます。

淡白な味覚は、生のままでも、あるいは簡単な調理や、ふだんの日の京のおばんざいから、本格的な懐石料理、更には、イタリアン、フレンチ、中華料理、など、など。一緒に御召しになる料理を損なわず、助け、引き出せる、そんな「ゆば」の味。

京都御所で遊ぶ子供たち(水彩画)ゆば長

一つのご家庭で、皆様のお好みが異なる時でも、同じ料理としてご一緒に召し上がっていただけます。小さなお子様の離乳食から、成長期の年若い方々、そしてお歳を召されたお方まで、そんな毎日の食卓に上る一品としてお使い頂けますように。

ゆば長の店舗外観_秋
ゆば長店舗内の秋の様子

今では、「京湯葉」と呼ばれることが多くなりましたが、私共は子供の頃より、京ことばで敬愛をこめて「御湯葉(おゆば)」、または「おゆばさん」と呼んで育ちました。

ゆば長のお詰め合わせの化粧箱には、この「御ゆば」の付箋を貼っております。


京都の美味しい水

三方(東、北、西)の周囲を山々に囲まれた「京都」は地形的には盆地。その為、「千年のみやこ」という華やかさに反して、町衆が過ごすには、夏は暑く、冬は底冷えのする厳しい町。けれども、比叡山に代表される美しい山々に降り注ぐ雨は、この町を潤し、北山、西山、東山三十六峯の地層を長時間にかけて濾過されてまいります。
そう、「大きな天然の水甕」を 京都は地下に蔵していると申せましょう。

京都の地下水のイメージ(水彩画)ゆば長

「 京都の地下は大きな水瓶 」のイメージ

この豊富な地下水こそが、京都の湯葉(京ゆば)・豆腐・生麩・京菓子などの味を支えてくれております。当店では、店の地下60mより汲み上げる地下水を使って、大豆を洗い、漬けて、豆乳を製造しています。この水は、ひとことで申しますと、とてもやわらかな御水でございます。
世界の中で他国と比べて、日本の地下水は軟水と言われておりますが、分けても京の水は江戸の水よりも、ずっとやわらか。

京都の葵橋から鴨川の眺め

鴨川の流れ(葵橋より上流を臨む)

当店のすぐ近くの京都御所は、古へより名水の地として知られ、御苑内の貴人の邸宅跡には、幾つかの井が今なお残っております。当店より室町通りを南へまいりますと、延喜式内社に名を連ねる、福長神社もございます。平安京の宮城内の井戸と泉の水を司る、由緒ある神社。
京都御所に隣接する、梨木神社の染殿(そめどの)の井にも、多くの方が日々の取水に来られます。更には名水の井を有する、茶道の三千家(表千家、裏千家、武者小路千家)のお家元も、お近くでございます。

夏は冷たく、冬には温かい、一年を通して豊かな水量をいただいております。この地より享ける恵みを大切に、絶やさぬよう、味・水量を、毎日大切に管理しております。


国産大豆

「ゆば長」では、100%国産大豆のみを使用致しております。
国産大豆は、雑味のない「香り高い大豆の爽やかさ」をゆばに移すことが出来ます。雑味がないからこそ、育った風土の「大豆の力」を余すところなく頂ける。力のある大豆品種・産地を常に吟味して、その時、その時に最善のものを厳選しております。原料となる大豆の費用だけは節約しない、ひと粒まで大切にする、とは初代よりの訓え。

大豆栽培の圃場と国産大豆

大豆栽培の圃場 と 国産大豆

大豆には特に厳しく向き合い、京都からも程近い、滋賀県産大豆を主にして、富山県産大豆を添えて、使用しております。
その中でも主となる滋賀県産大豆は、契約農家さんの栽培大豆をメインに、同じ品種でも地勢の異なる地域の大豆と、滋賀県だけで昔から栽培されてきた在来品種大豆(「地大豆」と呼びます)を加えております。
歴史的にも、京都の文化圏に近いエリアの大豆を選びまして、京都の風土に息づく「京ゆば」を作る為でございます。

同じ品種でも、栽培されている地勢が平地か山沿いかにより異なると、「大豆の力」も個性も全く異なります。その大豆たちと向き合うのが楽しみでもあります。また、同じ産地の同品種の大豆であっても、年年歳歳、作柄の出来具合は同じではありません。その為、新大豆を使い始める時期には、新しい気持ちでその年の大豆と向き合います。謙虚な気持ちで、自然の造化の不思議さを実感致します。

大豆は、前日に計量して、地下水を使って洗い、漬け、翌朝早くより豆乳作りを始めます。
毎日、その朝一番に絞った豆乳の香り、ゆばの味を確かめる時は、いつも気持ちが張り詰める一瞬。

大豆の花をご覧になられたことは、おありでしょうか。花の大きさ 3~4mm 程のとても小さな可憐な花です。私は時折り、大豆をプランターに蒔いて育て、収獲致します。

皆さん、大豆の自給率をご存知でしょうか。製油なども含めて大豆利用全体としては6%前後、食品利用に限定すると25%程度。(2020年時点)
私たちの食卓に欠かせない、ごはんと一緒に頂く味噌・醤油・豆腐などの大豆原料の食生活を、子供たちにも伝えることを考えますと、国産大豆の自給率向上を願ってやみません。

大豆の若い枝

大豆の若い枝

四君子(水墨画)

ゆば長では、「京都の暮らしと風土に寄り添う スローフード」 を基調に、ゆば(湯葉)を作り続けてまいりました。京都の地下水の恵みを頂いて作るゆばには、どの地域の大豆、品種が良いのか。
その一環としまして、京都府生物資源研究センターで開発され、京都で栽培される「京白丹波大豆」を使った京湯葉への試みを致しました。こちらは、収穫量も少なく、一年に数度しか湯葉を作れませんが、地産地消のフードマイレージの小さな、新しい「京ゆば」への挑戦。

( 京都府庁生協「 夏の地産地消フェア 」での、限定献立に、京白丹波大豆で作ったゆばを御利用いただきました。 )


日々のこころ

「美味養心」の道を支えに、初代より「京ゆば(湯葉)」だけを作り続けてまいりました。

食して下さった方々の御心に「和」をお運び出来るような「ゆば」を作ることは、また、作り手である私共の心をも深く涵養してくれるものでございます。

美味養心と京都ゆば長の暖簾

「美味養心」ゆば長の暖簾

「ゆば」は、鎌倉時代に中国より伝来しましてより、平安王城の地、山紫水明の都で育まれてまいりました。そして、同時に京都は、ここに住む私たちをも、その文化と美しい自然とで、長い時をかけて育んでくれました。

この、京都を代表する食品である「京ゆば」を受け継ぎ、伝承し、普及していくことを通して、食していただけます皆様と、作り手である私たちとが繋がる接点になればと、日々の勤めに励んでおります。

「 涵 養 」 の語源 「 涵之如海 養之如春 」 については、こちらの「ゆば長つれづれ手帖」をご覧ください。

大豆

また、これからの世代の方へ残し伝えるもの、と申しますと少しおこがましくございますが。

お米と大豆をあわせて頂く食事は、まさしくこの国の風土に合ったものでございます。お米の「でんぷん」とお豆の「たんぱく質」は、たったそれだけでさえ、子供たちの生育にはとても大切なもの。大豆から出来る、お醤油・お味噌・お豆腐・納豆・おゆば。そのようなことごとを、小さな方々に少しでも覚えていて欲しくて、近隣の小学校の御好意を頂きまして、大豆のお話や、ゆばの体験に来て頂いております。

皆さんの記憶に少しでも残り、大豆の自給率の向上につながりますように。


「きょうと信頼食品」・「京都吟味百撰」認定

きょうと信頼食品 認定

きょうと信頼食品 認定

「京の伝統食品」に携わる者としまして、技の向上と共に、「食の安心・安全」への配慮は欠くことが出来ないと、社員一同、銘じております。お召し上がりくださる方々に、より一層安心して御購入頂くために、当店では、「きょうと信頼食品登録制度」に賛同しまして、京都府の認定(平成23年5月23日登録)を受けました。(以来、制度終了の令和3年(2021年)3月31まで継続認定。)
2019年には、ゆば業界HACCP(ハサップ)の衛生管理の基準策定に委員として参画しました。現在は同HACCPにより、日々の作業に従事しており、これからも品質管理水準の一層の向上に、全員で取り組んでまいります。

また、京都の食文化への新たな取り組みとしまして、(社)京都府食品産業協会の主催する「京都吟味百撰」京ブランド食品の運動に、発足時より参加しております。京都の食文化は、厳選された材料、伝統的な製法と技の革新により、感動と満足を御提供してまいりました。
お召し上がりいただく方への、作り手からの「心」のお受け渡しとでも申せましょうか。
現在、当店では「京ブランド(京都吟味百撰)」として、「さしみゆば」、「つまみゆば」の2品目の湯葉が、第1回(平成16年12月)より継続して認定を受け、製造致しております。


ゆば長