今、幼い春の呼びかけに 耳を澄まして。
何かしら 促されるように 目覚めますと
朝の光が 空気の中の氷晶にあたっては、サラサラと音を立て
庭の水も 凍っていたりします。
フキノトウの芽が 力強く張り出してきました。
霜の融けた 苔のすきまから、春の萌しが笑っています。
杜若(かきつばた)も 新芽が
覗いています。
初夏には 葉組みに夢中になって
生ける この花も
最初の一葉は こんなにも幼く
瑞々しいのかと、驚きます。
みつ葉の新芽は、あちらこちらに逞しく。
もう少し大きくなると
お吸い物に入れたり、ご飯に添えたり
春の香りに使って重宝します。
木苺の新芽。
夏には、繁茂という
言葉を知る程に
伸び出す最初の
きっかけ。
牡丹の芽は
昨年10月に剪定して。
きっと花芽になると信じて。
梅はまだ固い蕾の中。
寒の厳しさが
花の香りを育みます。
花の品位を磨きます。
花の少ないこの季節には
日本水仙 と 蠟梅(ロウバイ)が
冬の寒さに眠る
私たちの目と鼻を
目覚めさせてくれます。
幼い春が呼びかけます。
少しずつ目覚める
庭 と 私 と 草花 に。