尾花が末を 秋とは言はむ
京都は、白秋寒露の候。
秋の訪れは、朝夕の空気の色の深まりに、それと気づきます。
そんな、野山の色を、未生流 西村陽甫先生が、店内の一隅に点じてくださいました。
山査子(サンザシ)、尾花、菊の花。
珊瑚朱、白茶、薄紅色の奏でる、秋の色。
五代清水六兵衛の掛け花生けには
斑入りの熨斗目蘭を生けてくださいました。
(藪蘭とも呼びます。)
紫苑の色もまた、光輝く秋の空。
澄んだ空気のように
風に揺れては 冴えわたる
朱い穂の尾花。
花器には、岩倉で作陶なさっておられる
木村宜正さんの三島手の壺。
秋の情緒を奏でます。
いつも涼しげな装いの西村陽甫先生。
花を生けてくださる、そのお姿と所作には
「風姿花伝」の「花」を見るようで
新鮮な感銘を いつも頂きます。
尾花の穂が、日毎に開いてまいります。
すると、造化の織り為す山査子の線描が
こんなにも生き生きとしてまいりました。
津田青楓の描く絵のように。
日を経て、新たに知る
西村陽甫先生の花。