「精進料理から学ぶ」 の第2回として、江戸時代の「小ぢくゆば」を再現し、この湯葉を使って 懐石・宿 「近又」の7代目 鵜飼さんが、料理を再現なさいました。
本物を知る「京おんな」のためのフリーマガジン「ハンケイ500m」 vol.10完成しました。
京都市内を流れる琵琶湖疏水に沿って歩く程に、パリの呼吸を感じる「岡崎」を含む
東山二条の特集号。
フリーマガジンとして、京都の地下鉄各駅、ターミナル、市内各所に配布しています。
京都に暮らす「京おんな」の皆様も、そして、ふらりと京都にお越しの方々も、目に付きましたら、手に取ってご覧ください。
今回も江戸時代の「精進料理献立集」をもとに、秋の美味しい一品の再現を掲載しております。
45番「中秋献立」より「茶碗」の一品「小ぢくゆばと栗のうす葛仕立て」。
文献を読んで初めて知る、江戸時代の「小ぢくゆば」再現からの挑戦となりました。
江戸時代より続く、懐石・宿 「近又」 様の7代目御主人 鵜飼さんの解釈を伺いまして、料理と食材の関係に、「はっ」と気付くきっかけを頂きました。
再現してみた「小ぢくゆば」は、軸の細さが愛らしい、チャーミングな湯葉に姿を得ました。
江戸時代の人が見たなら、何と言うだろうと想像しますと、ワクワクします。
「近又」の御当主が、この「小ぢくゆば」に、秋の栗とつくね芋とを用いて、江戸の味覚を、現在の懐石の一品として再現なさいました。
拝見致しまして、食材と料理法の妙に、強く感銘を受けました。
小さな秋が湯葉の袱紗の中に閉じ込められていて、ひとたび、お箸で開いたなら、江戸の秋が、碗の中から飛び立つことでしょう。
京料理の普及と伝承に、ひろく努めていらっしゃる御主人の、捉われない「ひらめき」こそが、今回の料理に姿を与えました。
私にとりましても、その道の深さと厳しさを感じる機会を頂きました。
その道を歩む方の言葉には、措くべからざるものがございます。
今こうして、「小ぢくゆば」も、私の目の前にその愛らしいおもざしでおります。
古い文献から、大理石を削り出すようにして、江戸時代の湯葉と献立とが、目の前に形を伴って、出てまいりました。
それは期せずして現前した姿。
およそ、生まれ出づる道程とは、斯くの如きものではないでしょうか。
この度は、とても貴重な経験をさせて頂きました。
「ハンケイ500m」vol.10 では、近又様の考案なさった「小ぢくゆばと栗のうす葛仕立て」のレシピが掲載されております。
是非、お手に取ってご覧頂きまして、一度、ご家庭でもお作りください。
江戸の秋を散策するような、そんな一品。