京都の風土に寄り添う、地産地消のスローフードへの取り組みとして「 京白丹波大豆 」 応用研究への協力を致しております。
ゆば長では、「 京都の暮らしと風土に寄り添う、スローフード 」を主旋律として、ゆば(湯葉)を作り続けてまいりました。
その一環としまして、京都府生物資源研究センターで新しく開発された品種「京白丹波大豆」を使ったゆばへの試みを致しております。
( 上記写真の 左...京白丹波大豆 右...熊本県産 1等級 減農薬大豆 )
皆さん、ふたつの大豆の違いにお気づきでしょうか。
ゆば長では、現在、右の熊本県産(減農薬栽培)1等級の大豆を「京ブランド」さしみゆば ・ 「京ブランド」つまみゆばの原料に用いています。(2011年 記)
胚芽のもとになる部分が白いことから、「白目」系大豆に分類されます。
京白丹波は、それに比べて更に粒が大きく、「 黒目 」系。
私共の店では、白目系大豆はタンパク質が多く、黒目系大豆は甘さ、と教えられてきました。
「 京白丹波 」は、有名な 丹波産黒豆「 紫ずきん 」と 「 玉大黒 」大豆( 文末コメント参照 )とを、研究者の方が、10年以上の歳月を掛けて、20回以上の交配により、誕生しました。
その為、ふたつの豆の良い性質を受け継いで、他にはない、特別な大豆となりました。
( 注 ... 雌蕊と雄蕊を受粉させる方法ですので、勿論、遺伝子組替ではありません。 )
農商工の連携による、新しい京都のブランド食品としての、先の長い取り組みとなりそう。
( 現状では、まだまだ、収穫量も少なく、一年に数度しか湯葉を作れないもの。 )
ひとまず、これまでの取り組み状況を、簡単に まとめてみました。
平成23年(2011年)8月19日には、京都を代表する食材への応用として、
京都府立大学にて、試食・発表会が行われました。
( 生命環境科学研究科 松井准教授が、食品加工適正について研究されています。 )
ゆば長からも、京白丹波大豆で作った生ゆば3種類(さしみゆば・つまみゆば・くみあげゆば)を試食に出品して、好評をいただきました。
当日は、同時に当店店舗でも (通常の国産大豆ゆばとは別に) 試験販売を致しました。
実際に、ゆばを作ってみますと、いつもの国産大豆とは異なり、白いゆばが出来ました。
更に、京都に暮らす者には懐かしい、黒豆の香りのする、柔らかな風合いの生湯葉となりました。
どうやら、京白丹波大豆には、タンパク質成分が少ないよう。
これは、黒目系大豆の特徴の一つ。
食べて頂いた方々の感想も やはり、クリーミィーで、口の中での甘みが更に出ている との御意見を多くいただきました。
9月10日(土)~9月11日(日)には、京都府食品産業協会主催の
「夏の名残り」京麺流しのイベントが、下賀茂神社の境内で行われました。
期間中、京湯葉製造販売事業協同組合として、京白丹波大豆を使った生ゆばの試食を御提供しました。
台風のあとの初秋の晴天に恵まれ、陽射しもテリテリの、暑いほどの2日間となりました。
そんな日中にも、糺(ただす)の森の木陰には、涼しげな風が流れてゆきます。
夏に帰ったような境内では、青竹を使っての京の麺流しに、子供たちが大喜び。箸の間をするりと流れゆく、色とりどりの細い麺は、過ぎゆく今年の夏のよう。
当店は、通常の国産大豆を使った生ゆばの販売でも参加しました。
納豆の試食コーナーもあり、意外にも、京白丹波の納豆は美味しいもの。
大粒のたっぷりした食感が、満足感を与えてくれます。
国民文化祭 京都 2011のマスコットキャラクター「まゆまろ」君も駆けつけてくれました。
絶好のチャンスなので一緒に記念撮影。子供たちには、ほんとに、人気が ありますね。
今までの試作の手応えからは、もう少し、タンパク質の強い方が、湯葉には向いていると感じていました。
そこで、折りに触れては、研究者の方には、もう一種類、そうした性質の「 白目系の京白丹波大豆 」を選出できないか、依頼しております。
そんな中で、やはり、実際の作付けを見て、生産者の方ともお話しする機会もあればと、京白丹波大豆の農場を見に行くことになりました。
2011年10月2日(日) JR京都駅から、山陰線に乗り八木町の試験農場へと行きました。
吉富駅で下車して、そこからすぐの農地へ行くまでは、コスモスが風に揺れる田園風景。
今年で2年目になるという その農地は、イノシシ防除用の電気柵に囲まれていて、広さ8,800平方メートルに亘って、青々と広がるもの。
まだまだ青い大豆の葉っぱ。
その影には、見事に鈴なりに実っています。
今年の生育状況はとても良い、とのこと。
イナゴがほんとにたくさんいました。
京白丹波の特徴ともいえる、太い茎と、ずっしりと重い、大豆の莢付きの姿。
生育するのに、畝をかなり寄せて上げる量は、研究時の予想以上だった、とのこと。
その為、収穫時のトラクターが空転してしまうことも。
大豆の収穫には、本来、茎がよく乾いて枯れてからの刈り入れが良いところ、
山沿いのこの集落では、大豆収穫と初雪とのタイミングの判断がとても難しい、とのおはなし。
今回の訪問では、新しい品種の生育を実証すること、そして、農作業のありのままをうかがい、あらためて、道程の厳しさを感じました。
生物資源研究センター吉川先生 、京都府南丹広域振興局の轟副所長、はじめ 農家の皆様、本当にありがとうございました。
帰途の列車のなかでは、国内の大豆食品の大切さと、その未来を深く考えることとなりました。
ゆば長つれづれ手帖
「 そうだ、食堂へ行こう!_京都府庁生協の地産地消フェア 」も 併せてをご覧ください。
夏の地産地消フェアでの、豆腐・湯葉の(毎日50食)限定献立を御紹介致しております。
コメント :
吉川正巳 | 2011年11月 8日 16:39 | 返信
京白丹波の記事、拝読いたしました。おもしろく読ませていただきました。可能なら1点修正をお願いいたします。「京白丹波」 は、有名な 丹波産黒豆「紫ずきん」と 「オオツル」大豆・・・とありますが、「紫ずきん」と「玉大黒」の組合せです。両方とも黒大豆なのですが、たまに子供の中に白が出てくるのです。不思議ですね。
ゆば長 | 2011年11月 8日 22:43 | 返信
吉川先生、先日は農場の見学にお誘い頂きまして、ありがとうございました。のどかな田園の風景と、いろいろなお話に、心楽しいひと時を過ごすことが出来ました。
また、コメントを拝読いたしまして、誤記載に気付かず、申し訳ございませんでした。先程、御指摘頂きました箇所を訂正致しました。ありがとうございました。
黒大豆同士の組合せだったのですね。本当に、自然の摂理、造化の不思議を感じます。
また、農場に(収穫期に?)うかがわせて頂くかと存じます。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。